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ぜん息発作が起きたとき
対応の方法は
気管支拡張薬を吸入します、飲み薬も飲みます。
水分を少しずつ、何回も飲ませます。
眠れない、話せないくらいなら急いで受診します。
治まれば翌日受診します。
体育嫌い?運動誘発喘息かも
冬のランニング
運動により一時的に咳き込んだり、息苦しくなることがあると、体を動かすことを嫌がります。
冬の寒くて乾燥した季節の頃によくあります。
口呼吸により、肺の空気の通り道の粘膜(気道上皮)が冷えることが刺激になり、気道が狭くなるからです。
運動誘発喘息、あるいは運動誘発性気管支攣縮といいます。
治療で運動が好きに
運動による喘息発作と気づかれずに、ただ体育が嫌いな子どもと誤解されていることがあります。
適切な治療で呼吸が楽になると運動が好きになりますので、冬の運動場で走る時の様子など、子どもさんに尋ねて見てください。
通年性アレルギー性鼻炎(ダニアレルギー)
いびきは鼻づまりの症状
アレルギー性鼻炎による鼻づまりは、いびきで気づかれます。
いつも口を開けていることも鼻づまりの症状です。
子どもは自分の鼻が詰まっていることが分かりません。ですから親に訴えることもしません。
鼻みずは鼻をすするか、鼻を拭くしぐさで気づかれます。鼻がムズムズするのでこすったり、いじったりします。
子どものアレルギー性鼻炎の見分け方は、いびき、口を開けている、鼻をこするしぐさです。
ダニアレルギー
子どもの通年性アレルギー性鼻炎の原因はほとんどダニアレルギーです。
スギ花粉症と違って一年中症状があり、無い時との違いがはっきりしません。
子ども自身も親も病気である自覚が乏しくなります。
舌下免疫療法
舌下免疫療法は薬物療法と違って、自然経過の改善が期待できます。
つまり薬を飲むことを止めるか、減らすことができる治療法です。
3年間続けることが望ましいです。
ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法に向いているかどうか試してください。
以下の項目のうち、4個以上あてはまる人は舌下免疫療法が有効である可能性が高いです。(大久保公裕先生提供)
- 屋内(家など)で症状が出やすい
- 掃除をしている時に症状が出やすい
- 鼻の症状だけでなく目にも症状がある
- 年中症状がある
- 秋(9~11月頃)症状が増悪する
- 野外では症状が少ない
学習への影響
鼻や目の症状が気になると、勉強に集中することができません。
小学校高学年になると自分から通院治療を望みますが、塾や部活で忙しくなります。
子ども医療証が通院で使えるのは、今のところ(名古屋市は)中学3年生までです。
舌下免疫療法に3年間通院が必要であることから、小学6年生までに舌下免疫療法を始めることをお勧めします。
舌下免疫療法の作用
シダキュア1年後の作用
当院で、シダキュア スギ花粉舌下錠を飲んでいただいた19例の症状を、昨年治療前と、今年3月の症状で比較しました。評価項目は、視覚的アナログ尺度(VAS)としました。VAS(わずらわしさの程度)が89から20に、わずか1年でよくなりました。
視覚的アナログ尺度(VAS)
過去1週間のくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみ、全般的症状の程度を、最良を0mm、最悪を100mmとして、直線のどのくらいか印をつけてもらいます。
VAS(わずらわしさ)が89から20に改善
舌下免疫療法
舌下免疫療法を始めました。大まかには以下の内容です。
スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎でお困りの方にお勧めです。
免疫療法とは
アレルギーの原因となっているアレルゲンを、少量から徐々に量を増やしながらくり返し投与します。
体をアレルゲンに慣らして症状を和らげる根本的な体質改善です。
治療の流れ
アレルギーの原因(アレルゲン)を確かめます。
治療は、1日1回舌の下に薬を投与します。
初回投与は医療機関内で行います。副反応対応のためです。
翌日(2日目)からは自宅で保護者が投与します。
治療期間は3年以上が推奨されます。
有効性
7~8割の患者さまに有効性が認められています(2~3割は無効です)。
副作用
副作用は口腔内の腫れ、かゆみが多くみられます。
特に投与後30分間、投与開始初期のおよそ1カ月間は注意が必要です。
(参考)
「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)」(日本アレルギー学会)
当院で舌下免疫療法を希望される方へ
舌下免疫療法を受けたい場合は
スギ花粉症あるいはダニアレルギーの診断が必要です。
まずは診察して必要な検査を受けていただきます。
結果の説明を聞いてから舌下免疫療法を検討していただきます。
舌下免疫療法を受ける前にもう一度ご確認ください
- スタートから2週間で3回来院し、その2週間後に4回目の受診が必要です。通えますか?
- その後は1カ月に1回の通院が必要です。通えますか?
- 毎日舌下投与します。治療期間も年単位です。根気よく続けられますか?
- 最初の1カ月間は副反応が出ます。その都度教えていただけますか。
- 約8割の方は良くなりますが、2割は作用がありません。全員が根治する治療でないことを理解していますか?
- 1月から5月の間は治療を始められません。
ダニ対策
ダニアレルギー
気管支喘息と通年性アレルギー性鼻炎の治療にダニ対策は重要です。
ハウスダストに含まれるチリダニ類のたんぱく質がアレルギーを引き起こします。
ていねいな掃除
ダニは布団やじゅうたんなどに多く生息しています。
1週間に1回くらい、ていねいに掃除機をかけてください。
1平方メートルを20秒くらいでゆっくりと吸い取ります。
6畳間なら3分間くらい、干した後の布団なら両面を3分間くらいです。
ダニの発生ピークは7月~8月です。夏の努力で喘息発作の出やすい秋に備えましょう。
対策の目安
環境整備は目に見えないだけに、どのくらいしたらいいのか分かりにくいですね。
ダニアレルゲンの簡易検査キットを用意していますのでご相談ください。
舌下免疫療法
高密度繊維の防ダニ布団カバーでおおえばさらに良いです。
舌下免疫療法は、ダニアレルギー鼻炎に治療適応があります。
子どもの花粉症
小さな子どもは鼻づまりを訴えられません
鼻が詰まって、口で息をすることは、つらいものです。しかし小さな子どもは、自分で鼻づまりを訴えることができません。鼻水と違って保護者にも分かりにくいので、以下のサインを見逃さないようにしてください。
花粉症のサイン
鼻や目をこすったり、顔をしかめたりします。こうしたしぐさを見たら、花粉症を疑ってください。
子どもの顔をよく見ると、小鼻にすじができたり、目が充血して目の下にクマができたりします。
大人と違ってくしゃみや鼻水は目立ちません。
アデノイド肥大症を合併します
4~5歳頃は、生理的に鼻の奥にあるアデノイドが大きくなり、空気の通り道が狭くなっています。その上、花粉症による鼻粘膜の腫れが加わると、鼻が詰まってしまいます。いつも口を開けていたり、寝ているときにいびきをかいたりします。
こうした眠りが浅く、熟睡できない状態は、脳の発育に悪い影響をきたします。昼間にイライラしたり、落ち着きが無くなったりします。しっかりとした睡眠は昼間学習したことを記憶に定着するために必要ですが、それができにくくなります。
幼児でもありふれた病気です
スギ花粉症と通年性アレルギー性鼻炎を合わせた有病率は以下のようです。
0~4歳児は5.1%で20人に一人、5~9歳児は36.2%で3人に一人の割合です(鼻アレルギー診療ガイドライン2013)。従来よりも低年齢からあることが分かってきました。
一度発症すると毎年症状が現れ、長期にわたって生活に影響します。
検査
採血検査で、ハウスダストやスギ花粉に対する過敏性の有無を調べます。
鼻咽頭内視鏡で、鼻腔粘膜の腫れの程度を見て治療の参考にします。
内視鏡で鼻腔入口を直接観察することはつらくないので、小さな子どもでもできます。
その子の症状に応じた治療のために、小児アレルギーを受診してください。
花粉症 外出するときの対策
マスク
マスクは顔とのすき間がないようにぴったりつけましょう。
花粉症の粒子は大きいので、市販のマスクで十分です。
不織布マスクを正しくつけていれば、吸い込む花粉量は6分の1に減らせます。
ぼうし
帽子で花粉が髪に着かないようにしましょう。
長い髪は結びましょう。
髪に着いた花粉は洗髪するまで取れません。帰宅した後も症状の原因になります。
メガネ
症状がひどい子にはメガネもお勧めです。
普通の眼鏡でも、花粉量は、しないときの3分の2に減らせます。
両サイドに保護カバーが付いたものなら3分の1以下になります。
帰宅したときは
玄関先で花粉を良く払いましょう。
顔を洗い、うがいをして、鼻をかみます。
体に着いた花粉をきちんと除きましょう。
(参考)
永倉仁史「子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本」(講談社)