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アトピー性皮膚炎の進歩
治療目標

かゆみや炎症を速やかに抑え、良い状態を保ちます。
かゆみの程度が
かゆくて授業に集中できない、
夜、目が覚める
ときは、治療が必要です。
治療の基本
確実な診断と、重症度評価、適切な薬の塗り方です。
重症度に合わせた強さのステロイド外用薬を、どれくらい塗るのかを、体の部位ごとに、FTU(人差し指の先の1関節の長さ)単位でお知らせします。
家でどれくらい塗ったか、塗布日誌に書いて、見せていただきます。
小学生以上の子は、日曜日は混むので避けて、土曜日の午前・午後に来ていただくと、比較的すいています。
かゆみの原因となるサイトカインを抑える薬が加わりました
外用薬(塗る薬)には
保湿剤 | |
ステロイド外用薬 | |
タクロリムス軟膏 |
抗アレルギー薬 | |
経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 |
生物学的製剤 |

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの関係
アトピー性皮膚炎が食物アレルギーの原因になると考えられています
生活環境にある食物のごく小さい成分は、皮膚から体内に入ります。
皮膚に、湿疹による炎症があると、免疫細胞が過剰に反応します。するとその食べ物に対してアレルギーを起こす準備ができます。そして次にその食物を食べたときにアレルギー症状が出てしまうと考えられています。
かゆみのある湿疹の治療が優先です

生後数カ月以内から、かゆみのある湿疹(アトピー性皮膚炎)がある赤ちゃんは、ステロイド外用薬と保湿剤のスキンケアで、湿疹がないきれいな肌にします。
生後6カ月以後に湿疹がきれいになっていれば、微量の加熱全卵を食べ始めます。定期的に受診して皮膚の赤みがないことを確認しながら食べる量を増やします。
湿疹が改善していなければ食物アレルギーの検査を受けましょう。
(参考)「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」(日本小児アレルギー学会) 2017年
食物アレルギーの発症予防
食物アレルギーはどうして起きるの
食べ物に含まれるタンパク質を、異物(アレルゲン)と勘違いして、過剰に反応するからです。食べ物に対するIgE抗体を間違って作ってしまった子が、アレルゲンとなる食べ物を食べると発症します。
湿疹を改善することが食物アレルギーのリスクを減らします

湿疹のある子は、湿疹のない子に比べて、食べ物に対するIgE抗体を作りやすいことがわかりました。湿疹部位で、ホコリに混じった微量の食べ物のカスが、アレルゲンと認識されるからです。これを経皮感作といい、食べ物を異物すなわち外敵と誤ってしまうことです。
湿疹を改善することで、経皮感作の道を断ちます。湿疹やアトピー性皮膚炎の治療は、アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法をご覧ください。
スキンケアをしっかりしましょう
肌を清潔にしてから保湿剤を塗って皮膚のバリアー機能を高めましょう。赤ちゃんのスキンケアをご覧ください。
離乳食は遅らせず始めましょう
離乳食は生後5~6カ月から始めます。離乳食の開始を遅らせても食物アレルギーの予防にはならないことが分かりました。むしろ早く食べ始めた方が食物アレルギーの発症を抑える可能性が示されました。これを経口免疫寛容といい、少しずつ食べることによって外敵とみなしていた食べ物を、仲間として受け入れることです。
食物アレルギーになってしまったときは、食べても大丈夫な量を見つけてそこから少しずつ増やしていきます。もしアレルギー症状が出たとしても軽くて済むからです。除去食解除を進める方法を、ご覧ください。
食物アレルギーの診断と治療
食物アレルギーの診断方法

除去食解除を進める方法
食物アレルギーの診療は、正しい診断とできるだけ少ない除去食が原則です。
当院はあいち小児保健医療総合センターの除去食解除を参考にして、家で少しずつ食べてみることを具体的に指導します。
全く食べたことのない1歳過ぎの子は、血液検査と皮膚プリックテストを参考にします。食物負荷試験をすることもあります。
もう少し年長で、練り製品やバターなどを少しでも食べたことのある子は、そこに含まれる鶏卵タンパク質量や牛乳蛋白(たんぱく)質量を参考にして、食べても大丈夫な量を考えます。
定量摂取が基本ですから、卵ならいり卵少量から、牛乳ならヨーグルト少量から始めます。毎日の食事に使いやすい練り製品やバターなども試します。大まかな進み具合は図をご覧ください。

木の実類アレルギー
① 木の実類アレルギーが増えています。
② クルミやカシューナッツによるアレルギーは、アナフィラキシーをきたすことが多いので注意が必要です。
③ 食物アレルギーがあり、木の実類を食べたことがない子どもは、事前に検査をして誤食によるアナフィラキシーを防ぐ方がよりよいです。
愛知県の調査で、15歳未満児の食物アレルギーで、アナフィラキシーをきたした原因の第3位は木の実類(15%)でした(図1)。第1位は卵(19%)で第2位は乳(16%)でした。
アナフィラキシーとは、命に関わるほどの全身のアレルギー反応ですから、危険な状態です。

2017年度は6%、2018年度は11%、2019年度は15%なので、まさに急増しています(図2)。

木の実類の内訳では、クルミが木の実類全体のうち47%と多く、2位がカシューナッツ16%でした(図3)。

参考 北村勝誠 ナッツ類アレルギーの現状と対応について 愛知医報 令和4年4月15日
アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎の原因は、①皮膚を保護するバリアー機能が弱いことと、②皮膚の下にかゆみを起こす炎症細胞が住みついていることです。弱った肌に湿疹ができるとかゆくなります。ひっかき傷からほこりや食べ物のカスが皮膚の中に入り込み、これに炎症細胞が反応して皮膚が赤くなり、かゆくなります。
プロアクティブ療法では、ステロイド軟こうと保湿剤を初めはたっぷりと使います。保湿剤で肌を保護して、症状に合ったステロイド軟こうで皮膚の赤みやかゆみを改善します。皮膚の赤みがおさまっても、炎症細胞はまだ居るので軟こうを急に止めることはしません。軟こうを上手に使って皮下の炎症細胞を徐々に少なくし、バリアー機能を高めます。結局は早く良くなってステロイド軟こうの全体量を減らすことができます。

子どものアトピー性皮膚炎は治りやすい
生後4か月から3歳まで追跡した調査があります。
生後4か月でアトピー性皮膚炎と診断された子の70%は、1歳6か月では治っていました。
1歳6か月で診断された子の48%は、3歳では治っていました。
かゆくて掻いたり、皮膚の炎症が続くと、ゴワゴワした肌になってしまいます。
治りやすい子どものうちに治療を始めるほうがきれいに治ります。
参考 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021 アレルギー,2021;70:1257

痛みを少なくして、水いぼ取り
水いぼ(伝染性軟属腫)の治療

自然経過で治りますが、乾燥肌のかゆみがあると掻いて広がり、治るのに1年くらいかかります。
つまみ取る治療方法は、寛解まで早くなりますが、痛がります。
麻酔薬テープ
このテープを水いぼの上に1時間前に貼っておくと、取るときに痛がりません。
ご希望の方は、前日に来院して持ち帰っていただきます。
当日は貼ってから1時間くらいした頃に処置できるように、時間を見計らって来ていただきます。
虫刺され
数日してから大きく腫れます

小さな子は1~2日後に(遅延型反応)、大きく赤く腫れます。中に水ぶくれができることもあります。
かゆみや痛みが我慢できず掻いてしまい、掻き壊すと細菌がついて、とびひになることがあります。
治療は
予防のために、虫よけ剤(ジエチルトルアミド(ディート))を適切に使ってください。
痒みには、ステロイド外用剤がよく効きます。医師に処方してもらえます。
とびになってしまったら、抗菌薬内服のために受診してください。