ニコニコこどもクリニック|名古屋市中村区上石川町の小児科

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食物アレルギー・アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの関係

アトピー性皮膚炎が食物アレルギーの原因になると考えられています

生活環境にある食物のごく小さい成分は、皮膚から体内に入ります。
皮膚に、湿疹による炎症があると、免疫細胞が過剰に反応します。するとその食べ物に対してアレルギーを起こす準備ができます。そして次にその食物を食べたときにアレルギー症状が出てしまうと考えられています。

かゆみのある湿疹の治療が優先です

アトピー性皮膚炎と食物アレルギー
保護者の了解を得て掲載しています

生後数カ月以内から、かゆみのある湿疹(アトピー性皮膚炎)がある赤ちゃんは、ステロイド外用薬と保湿剤のスキンケアで、湿疹がないきれいな肌にします。

生後6カ月以後に湿疹がきれいになっていれば、微量の加熱全卵を食べ始めます。定期的に受診して皮膚の赤みがないことを確認しながら食べる量を増やします。

湿疹が改善していなければ食物アレルギーの検査を受けましょう。

(参考)「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」(日本小児アレルギー学会) 2017年

食物アレルギーの発症予防

食物アレルギーはどうして起きるの

食べ物に含まれるタンパク質を、異物(アレルゲン)と勘違いして、過剰に反応するからです。食べ物に対するIgE抗体を間違って作ってしまった子が、アレルゲンとなる食べ物を食べると発症します。

湿疹を改善することが食物アレルギーのリスクを減らします

湿疹

湿疹のある子は、湿疹のない子に比べて、食べ物に対するIgE抗体を作りやすいことがわかりました。湿疹部位で、ホコリに混じった微量の食べ物のカスが、アレルゲンと認識されるからです。これを経皮感作といい、食べ物を異物すなわち外敵と誤ってしまうことです。
湿疹を改善することで、経皮感作の道を断ちます。湿疹やアトピー性皮膚炎の治療は、アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法をご覧ください。

スキンケアをしっかりしましょう

肌を清潔にしてから保湿剤を塗って皮膚のバリアー機能を高めましょう。赤ちゃんのスキンケアをご覧ください。

離乳食は遅らせず始めましょう

離乳食は生後5~6カ月から始めます。離乳食の開始を遅らせても食物アレルギーの予防にはならないことが分かりました。むしろ早く食べ始めた方が食物アレルギーの発症を抑える可能性が示されました。これを経口免疫寛容といい、少しずつ食べることによって外敵とみなしていた食べ物を、仲間として受け入れることです。
食物アレルギーになってしまったときは、食べても大丈夫な量を見つけてそこから少しずつ増やしていきます。もしアレルギー症状が出たとしても軽くて済むからです。除去食解除を進める方法を、ご覧ください。

赤ちゃんに卵と人工乳を与え始める具体的な方法

  1. 皮膚の管理
    湿疹を治して、良い状態を維持する。
    保湿剤は子どもの入浴後に、保護者が洗った手で塗る。
  2. 鶏卵アレルギー発症予防には、
    生後6か月から
    固ゆで卵黄なら小さじ1杯から、
    固ゆで卵白なら米粒1つ分(0.01~0.03g)から始めて少しずつ増やす。
  3. 牛乳アレルギー発症予防には
    生後早期から母乳量が十分なら、あえて人工乳を追加しない。
    母乳不足なら生後3日間はアミノ酸乳を補い、生後4日目以降は人工乳とする。
    生後3日以内に人工乳を飲んで特に症状なければ人工乳は中止しない。
    生後3日以内に人工乳を飲んで、その後人工乳を中止して母乳のみとした場合は、生後1か月から少量でも人工乳を始めて、症状が無ければそれを続ける。

(参考)崎原徹裕「抗原タンパク早期導入による食物アレルギー発症予防」日本小児科学会誌 2022;126:627

卵アレルギー解除に使いやすい商品

加熱全卵粉末、商品名たまこなTMを紹介します。
1包1gが固ゆで全卵2gに相当します。
症状を誘発しない量を、継続的に食べるのに使いやすい商品です。
食べられる量を少しずつ増やすことで、制限しなくても食べられるようになること(体制獲得)を目指します。

食物アレルギーの診断と治療

食物アレルギーの診断方法

今どきの食物アレルギーの診断方法

除去食解除を進める方法

食物アレルギーの診療は、正しい診断とできるだけ少ない除去食が原則です。

当院はあいち小児保健医療総合センターの除去食解除を参考にして、家で少しずつ食べてみることを具体的に指導します。

全く食べたことのない1歳過ぎの子は、血液検査と皮膚プリックテストを参考にします。食物負荷試験をすることもあります。
もう少し年長で、練り製品やバターなどを少しでも食べたことのある子は、そこに含まれる鶏卵タンパク質量や牛乳蛋白(たんぱく)質量を参考にして、食べても大丈夫な量を考えます。

定量摂取が基本ですから、卵ならいり卵少量から、牛乳ならヨーグルト少量から始めます。毎日の食事に使いやすい練り製品やバターなども試します。大まかな進み具合は図をご覧ください。

イラスト

食物経口負荷試験について

食物経口負荷試験

食物経口負荷試験

負荷試験の目的の一つに、食べられる量をしっかりと確認することがあります。2016年のガイドラインから“少量負荷”という考え方が加わりました。その理由は少しずつでも食べた方が、除去を続けているよりも、早く食べられるようになることがあるからです。

実際のやり方は、卵や牛乳・小麦などおよそ1g(1ml)を、数回に分けて食べさせて症状の有無を確かめます。食べても問題なかった子は、家庭でその範囲で食べてもらいます。

ある程度食べ続けたら、増量負荷試験で段階的解除に進みます。
負荷試験は午前中の半日で終わります。

食物経口負荷試験

負荷試験の目的の一つに、食べられる量をしっかりと確認することがあります。2016年のガイドラインから“少量負荷”という考え方が加わりました。その理由は少しずつでも食べた方が、除去を続けているよりも、早く食べられるようになることがあるからです。

実際のやり方は、卵や牛乳・小麦などおよそ1g(1ml)を、数回に分けて食べさせて症状の有無を確かめます。食べても問題なかった子は、家庭でその範囲で食べてもらいます。

ある程度食べ続けたら、増量負荷試験で段階的解除に進みます。
負荷試験は午前中の半日で終わります。

食物経口負荷試験

木の実類アレルギー

① 木の実類アレルギーが増えています。
② クルミやカシューナッツによるアレルギーは、アナフィラキシーをきたすことが多いので注意が必要です。
③ 食物アレルギーがあり、木の実類を食べたことがない子どもは、事前に検査をして誤食によるアナフィラキシーを防ぐ方がよりよいです。

愛知県の調査で、15歳未満児の食物アレルギーで、アナフィラキシーをきたした原因の第3位は木の実類(15%)でした(図1)。第1位は卵(19%)で第2位は乳(16%)でした。
アナフィラキシーとは、命に関わるほどの全身のアレルギー反応ですから、危険な状態です。

木の実類アレルギー

2017年度は6%、2018年度は11%、2019年度は15%なので、まさに急増しています(図2)。

木の実類アレルギー

木の実類の内訳では、クルミが木の実類全体のうち47%と多く、2位がカシューナッツ16%でした(図3)。

木の実類アレルギー

参考 北村勝誠 ナッツ類アレルギーの現状と対応について 愛知医報 令和4年4月15日

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎の原因は、①皮膚を保護するバリアー機能が弱いことと、②皮膚の下にかゆみを起こす炎症細胞が住みついていることです。弱った肌に湿疹ができるとかゆくなります。ひっかき傷からほこりや食べ物のカスが皮膚の中に入り込み、これに炎症細胞が反応して皮膚が赤くなり、かゆくなります。

プロアクティブ療法では、ステロイド軟こうと保湿剤を初めはたっぷりと使います。保湿剤で肌を保護して、症状に合ったステロイド軟こうで皮膚の赤みやかゆみを改善します。皮膚の赤みがおさまっても、炎症細胞はまだ居るので軟こうを急に止めることはしません。軟こうを上手に使って皮下の炎症細胞を徐々に少なくし、バリアー機能を高めます。結局は早く良くなってステロイド軟こうの全体量を減らすことができます。

プロアクティブ療法の経過図

子どものアトピー性皮膚炎は治りやすい

生後4か月から3歳まで追跡した調査があります。
生後4か月でアトピー性皮膚炎と診断された子の70%は、1歳6か月では治っていました。
1歳6か月で診断された子の48%は、3歳では治っていました。

かゆくて掻いたり、皮膚の炎症が続くと、ゴワゴワした肌になってしまいます。
治りやすい子どものうちに治療を始めるほうがきれいに治ります。

参考 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021 アレルギー,2021;70:1257

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021

痛みを少なくして、水いぼ取り

水いぼ(伝染性軟属腫)の治療

水いぼ(伝染性軟属腫)の治療

自然経過で治りますが、乾燥肌のかゆみがあると掻いて広がり、治るのに1年くらいかかります。
つまみ取る治療方法は、寛解まで早くなりますが、痛がります。

麻酔薬テープ

このテープを水いぼの上に1時間前に貼っておくと、取るときに痛がりません。
ご希望の方は、前日に来院して持ち帰っていただきます。
当日は貼ってから1時間くらいした頃に処置できるように、時間を見計らって来ていただきます。

虫刺され

数日してから大きく腫れます

虫刺され

小さな子は1~2日後に(遅延型反応)、大きく赤く腫れます。中に水ぶくれができることもあります。
かゆみや痛みが我慢できず掻いてしまい、掻き壊すと細菌がついて、とびひになることがあります。

治療は

予防のために、虫よけ剤(ジエチルトルアミド(ディート))を適切に使ってください。
痒みには、ステロイド外用剤がよく効きます。医師に処方してもらえます。
とびになってしまったら、抗菌薬内服のために受診してください。