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子どもとスマホ
子どもの特性や生理反応を考えて
2歳まではなるべく見させない、幼児期は1時間位までにしましょう。
そうは言っても、仕事の帰り公共の乗り物の中や、夕食の準備のときに、子どもが何かに集中してくれると、保護者は助かります。近視の危険性とのバランスを大切にしてください。
スマホの見過ぎは、近視と内斜視になりやすい
スマホは目に近く20cmくらいで見ます。画面が小さいので寄り目になります。そして片目で見る癖がつきます。両目で立体を見る力は3歳までに発達します。2歳まではスマホはなるべく見させないようにしましょう。
外遊びは視力の発達に大切
- 1日2時間以上、1000ルクス以上の光を浴びると近視が進みにくいです。外で遠くのものを見て距離を知ることで、立体視が発達します。
- 遠くを見ることで瞳の位置を正常に戻すことができます。利用時間が長くなると、正常に戻るのに時間がかかります。
- 片目で見る癖がつくと、奥行きや距離がつかめなくなります。野球で空振りしたり、ボールを取れなかったり、平均台を渡れない子は、立体視ができていないかもしれません。
- 米国眼科学会は、スマホを20分見たら、20秒間20フィート(6m)先を見る「20-20-20」を勧めています。
(参考)
子どもの病気 ホームケアガイド 第5版 医歯薬出版
森本 壮 日本医事新報 2022.2.19 p51
スマホ・ゲームの適切な使い方
親子で話し合える関係を大切に
- リアルの生活を豊かにしましょう。
- スマホ・ゲームを使い始める年齢を遅くしましょう。
- スマホ・ゲームを使う時間を少なくしましょう。
- 保護者がゲームについて良く知りましょう。親が自分の趣味に興味を持ては、子どもは喜びます。
- ゲームを肯定的に見ましょう。仲間の大切さを認め、友達と楽しむことと、身体を大切にすること・睡眠不足が心配であることとの折り合いを上手につけるように、親子で話し合いましょう。
- ゲーム内の課金など、お金の使い方を話し合える親子関係を保ちましょう。
(参考) 関正樹、高岡健 「発達障害をめぐる世界の話をしよう」批評社
ことばの発達
(a)ことばの土台となるもの
人との関わりで大切なことをいくつか挙げます。それらができるかどうか試してみてください。
- 視線・・・・・赤ちゃんとお母さんの目がきちんと合いますか。一つのものを一緒に見つめることができますか。
- コミュニケーション・・・・・目を合わせて笑いかけると、微笑みを返しますか。気持ちが伝わる感覚がありますか。
- 指さし・・・・・興味を持つものに指差しをしますか。
- ごっこ遊び・・・・・ぬいぐるみ人形の世話をしたり、おもちゃのコップで飲むまねをしたりしますか。
こうしたことは、子どもと一緒に楽しく遊ぶことで育ちます。楽しい親子のふれあい遊びで愛着関係を深めてください。
(b)ことばの発達を促す最も良い方法
家庭でできることです、絵本の読み聞かせと、お手伝いをさせてください。
その時に、TVは消してください。子どもの年齢にふさわしい絵本を選んでください。
絵本の読み聞かせで、ことばで考える力を育てます。
お手伝いで、ことばを実際に使って、ほめてもらえる機会を増やします。
(c)ことばの遅れや、人との関わりが気になるときは
必要に応じて遠城寺式発達検査表をします。
発達の程度を「運動」「社会性」「言語」の3領域に分けて、その子の特徴を判断します。
どのレベルを教えてあげればできるようになるかの「教育のレディネス(準備状態)」を調べます。
家庭では記録をつけてください。すぐにはできるようになくても、後から振り返って子どもの成長が感じられます。
(参考)
横山浩之「乳幼児の発達からみる 保育気づきポイント44」 診断と治療社 2017年初版
学習障害への早期支援
発達性読み書き障害とは
発達性読み書き障害(ディスレキシア)は学習障害の中心的な病態です。
その症状は文字を読むことが遅く、またよく読み間違えることです。そのために本を読むことが嫌いになります。努力しているにもかかわらず学業成績が悪いので勉強嫌いになってしまいます。
もともと知的発達は良いので、学校嫌いになる前に見つけ出して指導をすれば、読み書き困難を改善することができます。
どうして気づかれないの?
見つからない理由は上手に取り繕うからです。音読が下手なことがばれると恥ずかしいからです。例えば、教科書を丸暗記する、しゃべらない子を装う、おなかが痛くなる、当てられると騒いで授業妨害をする、などです。
「よどむけど、読めるからいいでしょう」という認識を改めることが気づきの始まりです。
早期からの見つけ方や手だては
学業不振になってからでは手遅れなので、読み書き障害を疑われたら早めの介入が望ましいです。 診断は、特異的発達障害のガイドラインによります。つまり読みの速さと正確さ(読み誤りの数)を調べます。
支援は鳥取大学方式による解読指導と語彙(ごい指導の2段階方式です。同時に保護者が本の読み聞かせをすることが重要です。ことばの語感や余韻を楽しみながら、言葉の意味のネットワークを豊かに張り巡らすことがとても大切です。
その他には、文房具を使いやすくする補助器具や、スマホのアプリなど情報機器の活用があります。
(参考)
稲垣真澄「特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドライン」(診断と治療社)
国立成育医療研究センター こころの診療部 小枝達也(外部サイト)
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/heart/dyslexia/index.html
スマホ・LINEの勉強への悪影響
2時間の学習効果が消える
スマホ・LINEを長時間使うと、いくら勉強しても成績が下がります。
せっかく勉強しても学習内容が消えてしまうことが分かりました。
平日に2時間以上勉強してもLINE使用が4時間以上だと数学・算数の正答率が50%です。一方勉強が30分未満でもLINEを全くしない場合の正答率は60%でした(図)。
集中力低下
どんなに勉強してもスマホ・LINEを長時間すると、勉強をほとんどしないけれどスマホ・LINEもしない子どもよりも成績は悪くなります。
その理由は集中力の低下、短期記憶の悪化、我慢する力が弱くなるからです。
(参考) 川島隆太・横田晋務 「やってはいけない脳の習慣」 青春出版社
吃音(きつおん:どもり)
1日10分でいいので、ゆったりと話せる時間を作ってください
親は、話す合間合間に時間を取ってゆっくりと話す手本を見せてください。
子どもに「ゆっくり話しなさい」などと、話し方の要求をしてはいけません。
最初の言葉が出ない難発性吃音(例えば「・・・・・か」)になったら、「待っているよ」、「か、の次は何のことば?」など声かけして、話したい意欲を持ち続けるようにしてください。
相手の言ったことばをそのまま返したり(復唱)、要約して言い、「伝わった」と実感させてください。
吃音について、オープンに話してください
「なぜ僕はことばがつっかえるの?」との質問は、「僕は今のままでいいの?」と
親に確認しているのです。医学的な原因を知りたいわけではありません。
「吃音って言うんだよ」、「癖だから今のままでいいよ」などと答えてください。
親の支えがあれば自信が持てます。
園や学校に協力をお願いしてください
からかいやいじめ、本読みや当番での号令は、吃音のある子にとって支援が必要な課題です。園・学校の先生に吃音の知識と、良い環境があれば症状は軽減する
ことを伝える必要があります。
エビデンスに基づいた推奨される吃音療法はありません
今の段階では、周りの環境を整えることが大切です。
当院は吃音への環境調整でお役に立てると思いますのでご相談ください。
(参考)
菊池良和「エビデンスに基づいた吃音支援入門」(学苑社)